東京から特別講師としてK氏が来られるという授業があった。
その授業には今までの塾生が誰でもお金を払えば参加出来るというものだった気がする。
先輩から後輩までたくさん集まり教室に集まった。
緊張と期待で教室の空気が歪んでいた。
K氏が入ってきた。
第一声が前の席でメモを取ろうとしていた人に対しての「何メモ取っとんねん!そんなもん意味ない」
だった。
ピリつく教室。
少しでも動くと顔に切り傷が出来てしまうかのような空気感だ。
先輩のIさんは以前、Kさんの授業に出て「ナレーション原稿の書き方がわからないのですが」という質問をしたらしい。
Kさんは「ナレーション原稿?そんな事せんでええやろ!何の意味があんねん!」
と一蹴されたらしい。
Kさんのピリピリした授業が終わり、IさんとWと話した。
他のみんなはKさんとの飲み会に行った。
Iさんは俺とWが学校と繋がりがあるお笑いライブで唯一優しく接してくれた先輩だ。
Iさんは先生からも一目置かれていて関西の番組に構成で抜擢されていた。
Iさんはその番組の会議の話をよく俺とWにした。
その話でわかったのはIさんは明らかにその会議のメンバーに"溶け込んでいない"という事だ。
圧倒的な異物感。
聞いてくうちに自分もその場に居たらそうなって居ただろうなというリアルな感覚に陥った。
Iさんと別れWと夜道を歩いて帰る。
26号線を南に下っていく。
タクシーがビュンビュン通っていくのを横目で感じながら二人で歩いた。
Wは唐突に「食べます?」と言ってカバンから4つくらい入ってるチョコパンを出してきた。
全然要らなかったけどせっかくカバンから出してくれたから一つだけ貰う事にした。
「ありがとう腹減っててん」
と嘘を付いた。
Wは言った。
「ヒラ3さん俺今なんかやりたいんすわ。Iさんとかとライブとかやりませんか?」
先輩とライブ。
「ええんちゃう」と言ってチョコパンを頬張った。
続く