いつもここから

いつもここからって良いコンビ名だよな」

「お前それは失礼だろ」

「は?」

「それだと"コンビ名"は良いけど"コンビ自体"は良くないみたいに聞こえるぞ」

「いや"コンビ名"を良いと言っただけで"コンビ自体"には良いも悪いも言っていない。お前、悪意あるぞ」

「じゃあ"コンビ自体"はどうなんだよ」

「"コンビ自体"は"コンビ名が良い"所が良いね」

「お前それは失礼だろ」

「は?」

「それだと"コンビ名が良い"だけしか取り柄がなくて"コンビ自体"はクソつまんないって事になるぞ」

「いや、"コンビ名が良い"所を良いと言っただけでクソつまんないとか言っていない。お前、やっぱ悪意あるな」

「じゃあ殴らせろ」

「は?」

ドカッ

「…痛…お前、純粋な悪かよ」

 

NSC(吉本総合芸能学院)面接の思い出

20歳。

とある白いビルの前に立った。

 

この期に及んでもまだ「やめようかな」

と思っていた。

地元の工場で缶詰状態になってかき集めた引越し費用と入学費用。

勝手に大学をやめて親に怒られ悲しまれた。

 

そういう物を背負って覚悟を決めたはずなのに、まだ「やめたい」のだ。

 

お笑いの世界に入りたい人間は

大きく言うと二つの種類に分けられると思う。

 

「俺、おもろい」「絶対売れてやる」

という自信に満ち溢れて能動的にお笑いを選んだタイプ

 

もう一つはあれもダメ、これもダメ、「怠けたい」「楽したい」と

消去法で選んだタイプ

 

自分は明らかに後者だった。

 

しばらくぼーっとビルの前に立っていると話しかけられた。

「あの〜NSCの面接ってこのビルですよね?」

「は、はい、そうみたいです」

「一緒に入りませんか?なんか怖くて。」

「あ、僕もちょっと入り辛くて一緒に行きましょう」

彼も"消去法タイプ"なのかな

 

入ると受付の人が「面接?名前書いて」名前を書くと

「エレベーター上がったら部屋あるから、そこで呼ばれるまで待ってて」

言われた通り控え室に行くと

 

既に20人くらい居ただろうか。

その人数にしては狭い。

狭い上に空気が張り詰めている。

ピリピリピリピリしているのだ。

 

誰も喋っていないのに

 

「おまえおもろいんか?」

「俺のがおもろいからな」

「絶対売れてやる」

「天下取ってやる」

 

そういった声が聞こえてくるような、

欲望が渦巻いたギラギラとした目をした20歳前後の若者達が集まっていた。

 

その時の事を思い出すと未だに息が詰まりそうになる。

 

どこにも目のやり場がなく、ずっと床を見つめていた。

心底後悔していた。

完全に場違いだ…

 

一緒に来た人が喋りかけてきた。

「なんかピリピリしてますねw」

小声ではあるが誰も喋ってないので

狭い部屋全員に聞こえたと思う。

 

「おいやめろ」と思いながらも一緒にここまで来た仲間だ。

無言で「そうですね」というイメージの変な首の振り方をした。

 

面接室はドアを隔てて横にあるようだ。

名前を言って志望動機を言う声がさっきから聞こえてくる。

 

張り詰めた沈黙の空気の中、

面接室から

「あたたたたたたたたたたた!ほっわっちゃあ」

 

という声が聞こえた。

 

ん?ケンシロウ

 

数秒経ち、また「あたたたたたたたたたたたたたたた!ほっわっちゃあ!」

 

明らかに誰かが"面接"で北斗の拳のネタを披露している。

 

その瞬間

控え室の空気が少し穏やかになったような気がした。

急に壁を向き笑いをこらえる者、急に風船みたいに口を膨らまし舌を動かし始めた者、急に目を瞑って腕組みをして耐えている者。

 

みんな「笑ったら負け」という空気に支配されていた。

 

しばらくして、面接室のドアが開きぞろぞろと受験生が出てきた。

みんな緊張感から解放された清々しい顔をしていた。

 

野太い声で「次の人ら全員入って」

と聞こえた。

 

いよいよ面接だ。

 

全員、顔がピリッと戻り向かう。

戦場に行く兵士達のように

 

部屋に入ると控え室よりは広い。

受験番号順に指定された椅子に座った。

 

面接官は三人居た。

 

一人の面接官が、

「じゃあ〜順番に自己紹介してって〜」

 

緊張する。

 

大体の人が名前を言ってからお笑いに対しての思いを語っていく。

 

コンビで田舎からやってきた人も居た。

 

自分の番だ。とりあえずみんなの真似をしようと思った。

 

名前を言って、"当たり障りなく"お笑いへの思いを語った気がするがあまり覚えていない、「志村けん」とかドリフに対しての思いを語った気がする。

 

ダウンタウンに対して語る人が多かったので、少し差をつけたいという欲が出たのかもしれない。

 

自分の番が終わり、ひとまずホッとした。

 

最後の人まで終わり、

面接官が「なんか質問ある人いる?」

 

一人、手を挙げた。

 

「ギャグ披露して良いですか?」

 

貪欲な人だ

 

面接官「ん?まあ、じゃあやってみて」

 

その人は鞄からメトロノームとタオルを取り出し、メトロノームのタイミングに合わせて前傾姿勢で独特のステップを刻みながらひたすらタオルを振り回し始めた。

 

「シュージュジュシュー、シュージュジュシュー」

 

低い声でうなりながらタオルをひたすら振り回している。

 

意味わからないけどめちゃくちゃ面白い。必死に笑いを堪えた。

自分以外にも笑いを堪えてるような咳払いが聞こえる。

 

1分くらいで面接官が「あっもういいよ」と止めた

 

するとその人は悔しそうに

「すみません。ちょっと失敗しました」

と言った。

 

面接官「どの部分やねん」

 

みんな笑った。

 

面接は無事終わり、

数日後「合格」の通知が届いた。

 

NSCに入った後に「あのタオルの人面白かったけど落ちたらしい」

という会話があちこちでされていた。

 

真偽は未だにわからない。

 

 

将棋道場のある町3

http://hauto3.hatenablog.com/entry/2018/11/15/235048

の続き

 

大人しそうな少年とテーブルを向かいあわせて座った。

しかし、この席狭いな…

後ろを振り返ると"先生"と呼ばれてる年配の男性が座っている。

小学生2人でちょうどいい椅子間隔に大人の男2人が詰まっているのだ。

どうりで…

"先生"も狭いと思ってるだろうな。

少し椅子を外に突き出す形に整えた。

これで良い。

喉もカラカラだ…

少年に「ちょっと待ってな。ここって自販機ある?」と聞いた。

するとおじいさんが「ホット?ホット?」と言った。

冷たいのありますか?

 

120円を払いトップバリューの冷たい烏龍茶を飲むと少し落ちついてきた。

 

さあはじめよう。

少年が先手だ。

パシッ!パンッ!少年の手がチェスクロック押す。

 

あっチェスクロック有りか

 

少年「間違えた〜無しですよね?」

俺「あ、うんでも大丈夫よどっちでも」

少年「いや、無しで」

 

少年が指す。パシッ!またチェスクロックを押す。

 

どうやらこの少年はチェスクロックを押すのが癖になっているようだ。チェスクロックを押す事が染みついた身体。

多分強い。

今まで何千何万局と指してきたのだろう。

 

少年「あー押してしまう」

俺「いいよ。有りで」

 

初のチェスクロックだ。

指したら時計の上のスイッチを押すだけだけどたまに忘れる時がある。

その度に少年は代わりに押してくれた。

 

最初に指した丸坊主少年とは違いこの子は全く喋らない。

大人しく虚ろな表情で次々に厳しい手を放ってくる。

 

将棋というのは非言語化されてはいるがお互いに指し合う事が既に会話だとも思う。

 

パシッパシッパシッパシッ

 

駒で少年と会話する。

 

「どうこの手は?」

「なかなかやるな」

「そろそろ殴るわ」

「逃がさない」

「引っかかってやんの〜」

「その手はダサいね」

 

約10分後

「参りました」と俺は声に出して言った。

 

2連敗。

強い…いや俺が弱いのか…

 

次は年配のマスクを着用した女性が相手だ。勝ちたい…

 

3戦目は何とか勝った。

その女性とは"感想戦"を長めにやった。

マスク着用の上に声も小さかったので、少し聞きずらかったが、互いに議論しあった。

 

最初に対局した丸坊主少年がやってきて、「やっと勝ったん?w」と話しかけてくれた。

照れながら「なんとかね」と言った。

子どもに話しかけられるのは嬉しい。

 

次はめちゃくちゃ喋ってニコニコしてる丸坊主少年が相手だ。

最初の相手とは別の丸坊主少年だ。

丸坊主2としよう。

 

対局中めちゃくちゃ喋りかけてくる。

「あんな〜おれ、サッカーもやっててリフティング463回できるねん」

「まじかよ凄いやん」

「キャプテンもやってるねん」

「キャプテンなら責任重大やな」

「そう!責任重大やねん!」

 

ニコニコしながら話しかけてくる。

可愛い。けれど将棋の方は

「ここにズラしていい?」「もう一回指していい?」「あーーー!!もう無理や〜」

 

丸坊主2に勝った。

 

丸坊主1が来た。「おまえ負けてるやんおれ勝ったのにw」

 

打倒丸坊主1

 

その後、また違う少年に勝って

3-2になった。

 

次は2戦目に当たった、大人しそうな少年と再戦だ。勝ちたい。

指していると、横に"先生"が立った。

腕組みをして盤面を眺めている。

少年が指した手を見て先生は溜息をついた。

「そんな手ない!よく考えろ!ありえないわ。」

イライラしながら盤面を見つめてる先生

 

空気が張り詰めてきた。

こっちまで緊張する。

 

「ちゃんとよく考えろ!」

「見てられへん。もうあかん投げろ!(投了しろ)

 

少年は「負けました…」と言って頭を下げた。どっちが優勢でもない難解な場面だったと思う。

 

この少年は先生の息子なのだろう。

将棋スパルタ教育を施す父親と息子

漫画の世界では見た事がある。

 

先生が「まだ時間大丈夫ですか?やりませんか?やりましょう!」

 

帰ろうとしてたところだったが勢いに押され対局する事になった。

 

パシッッ!!!パシッ!!!

 

不甲斐ない息子への憤りなのか駒音が激しい。

 

最後、形は作れたが負けた。

感想戦では先生は凄く優しかった。

先生は他の子供にも優しかった。

息子にだけは厳しい人だった。

 

おじいさんに「ありがとうございました!」と言って帰ろうとした。

おじいさん「また来て下さいね〜〜」

 

外に出ると辺りは暗く、寒い。

もう冬か。

 

駅着くと路上ライヴで一人歌ってる男性が見えた。長渕を歌ってる。良い歌だ。

 

道場がある街から道場がない街へ行く為の切符を買う。

 

帰りの電車でどっと疲れがきた。

良い疲れだ。

来てよかった。

楽しかった。また近いうちに来ようと思った。

自分の居場所がまた一つ作れた気がした。

 

田んぼで真っ暗な窓の外を眺めてると程なく着いた。道場がない街に。

 

終わり

 

小学生と将棋対決!将棋道場に行った日2

前回の記事

http://hauto3.hatenablog.com/entry/2018/11/14/230145

の続き

 

いよいよ丸坊主の小学生と対決する事になった。

おじいさんが「そこに座って〜」

と指さしたパイプイスに座った。

狭い!後ろのパイプイスとカチカチ当たってる。

なんとか無理矢理腰を下ろした。胸がテーブルに圧迫されている。

小学生仕様かよ。

 

小学生「チェスクロック使う〜〜?」

 

チェスクロックか、見た事あるけど使った事ない。

 

小学生「じゃあなしで」

淡々と小慣れた感じで小学生が「振り駒」を始めた。

見ると小学生が王将、自分は玉将だ。

 

知らない方に少し説明すると

将棋では上位者が「王将」の駒を使い、

下位者は「玉将」の駒を使う。

そして振り駒というのは上位者が自分の歩を5枚すごろくのサイコロのように放り投げ、

"歩"の数が多ければ王将側先手、裏側である"と"の数が多ければ玉将側先手というシステムだ。

 

との数が3枚出た。先手。

 

将棋は微差ではあるが先手有利、

と言われてる。

よし!

 

俺「お願いします」

小学生「お願いしま〜す」

 

戦の始まりだ。

まず飛車先の歩を突いてみた。

向こうも飛車先を突いてくる。

おっきたか。負けられない。

 

横歩を取った。勇気の要る危険な戦法だ。なぜ、こんな戦法選んでしまったんだろう。明らかに浮足立ってる。

 

米長永世棋聖が昔

「横歩を取れない男に負けるわけにはいかない」

と対戦相手を挑発した言葉が頭に残っていたのか

 

小「横歩取りかー、じゃあこれやってみようかな♪」パシッ

 

45角戦法だ。

 

谷川永世名人が考案した横歩取り後手番対策、簡単に言うと"ハメ技"だ。

現在では対策が"定跡化"されており、

「知識」があり「手順を間違えさえしなければ」粉砕できる。

ので、プロ棋士でこの戦法を使う人は現在では全くいない。しかし知らないとまず負ける。

 

やばい…どうしよう…

少ししか定跡知らないし…うろ覚えだ…

とりあえず何となく指してみる。

パシッ、パシッ、パシッ、パシッ

小学生はノータイムで勢いよく指してくる。定跡を知ってるのだろう。

 

どんどん劣勢になり考えるが良い手が

浮かばない。長考に沈む。見ると、小学生が暇そうに足をバタバタし始めた。

足元で何かが散らばった音がした。

 

下を見るとペットボトルの蓋が袋からジャラジャラ出てきてる。

 

小「あーーー最悪や〜〜」

俺「なにそれ蓋?集めてるの?」

小「そう!」

 

拾うのを手伝った。俺達の世代でいうと

牛乳瓶の蓋みたいな物なのかな。

いつの時代も小学生は何かを集めている。

 

少し落ちついてきて盛り返したが、

どうやら足りない。

 

投了しようとしたら、

小「まだいけるやーん。そこに逃げられたら、、結構困るかも〜〜」

優しい子だ

 

少し指したけどやっぱり負けを悟った。

悔しい。

将棋のような運に左右されないゲームでは基本「馬鹿」な方が負けるのだ。

つまり俺は馬鹿だから負けたのだ。

 

負けました
といって頭を下げるのが、
正しい投了の仕方。

つらい瞬間です。
でも「負けました」と
はっきり言える人はプロでも強くなる。

これをいいかげんにしている人は
上にいけません。」

 

谷川永世名人の45角戦法に敗れ

谷川永世名人の言葉が頭に浮かんだ

なんという皮肉だろう

 

頭を深々と下げ

「負けました!」と声を出した

小学生「ありがとうございました!」

 

小学生「変な人に勝ったー!!!」

と叫んだ

 

一敗スタートだ。

 

おじいさんが来て

「じゃあ次はこの子と指してみて」

 

見ると大人しそうな少年が立ってる。

暗く沈んだような目をしていた。

 

3へ続く

 

 

 

 

 

将棋道場に行った日

今日は休みだったので電車に乗って将棋道場のある町まで出掛けた。

自分の住んでる町には道場が一軒もないのだ。

この町に越してきた時に検索したら一軒だけ引っかかり

喜び勇んで行くと将棋道場なんかどこにもなく、廃墟だけがそこに立っていた。

ガッカリしつつもせっかく来たので、少し入ってみると中はめちゃくちゃ散らかっていて壁が崩れ落ちていて歩が3枚散らばっていたのを覚えている。

 

今はインターネットという便利な物があり将棋をやろうと思えばいくらでも"顔のない"対戦相手はみつかる。

 

しかし…もの足りなくてなってきた…

 

「生でパチパチしてえ!!!!!!

え!!!

生の人間と指してみてえ!!!」

 

その欲望がパンパンに膨らんできたのだ。

「腹が減っては戦は出来ぬ」とまずは、美味しいトンカツ屋で腹ごしらえして駅まで意気揚々と勇ましく歩いた。

駅に着いた瞬間、あれ?

 

「急に行きたくなくなってきた」

 

またかよと思った。

"さっきまでやる気だったのに急にやる気なくなる"という昔からの病気だ。

 

まあ、とりあえず乗ってから決めようと思い電車に乗るとますます後悔の念が湧いてきた。

知らないところに行くのは苦手だ。

調べたら老舗の将棋道場で多分、常連がゴロゴロしてる。

知らない奴がきたら奇異の目で見られるだろう。

「なんやあいつ誰や?」とか聞こえてきて腕組みをしたおじさんに囲まれたらどうしよう…

鬼の形相した超怖い主が居たらどうしよう…

家でネット将棋やってれば良かった…

 

そんなマイナス思考の転校生になった気持ちのまま、

"道場がある町"に着いた。

 

ここまで来たんだから、とりあえずちらっと、"どんな道場"かだけ見て嫌なら帰ったらいいやんと思って、道場まで歩いた。

 

心臓がドクンドクンと波打っている。

 

家が恋しい。帰りたい。

ボヘミアンラプソディー観にいけばよかった…

 

道場のあるビルに着いた。

ネットで調べたら二階にあるらしい。

階段を上がると「いらっしゃーい」と優しそうなお爺さんの声がした。

どこから見てるんだろう?

 

その声に引き寄せられるようにドアを開けるとまず見えたのがランドセルの山

 

俺の顔を見るなり一人の小学生が指差してきて叫んだ。

 

「なんか変な人きたー!!!」

 

顔が真っ赤になった。

 

おじいさんがその子をたしなめ、

「ごめんなさいねえ、賑やかで。初めての方やんね。とりあえず名前書いてね。すぐ空くから」

 

優しい人だ。

 

名前を書いてる間、少し冷静になって周りを見ると全然イメージと違った。

 

・意外と狭い

・そろばん学校みたいだな

・畳じゃなくてテーブルなのか

・爺さんが一人もいない

 

居たのは小学生8人くらいと年配の男性とマスクしてる年配の女性だ。

 

待つ間、しばらく小学生と年配の男性が指してる将棋を見ていた。

 

「先生、これは?」

「そういう時は歩を先に成ってこうしたらええねん」

 

年配の方は先生と呼ばれてる。

強いんだろうな。

 

おじいさんが呼んだ。

「お兄ちゃんこの子結構強いけど指してあげて〜」

見ると余裕のある顔をした丸坊主の少年がこっちを見てニヤニヤしながら「カモーンベイビー♪」と言った。

 

こいつ完全に舐めてやがる

 

ガキが

 

メラメラと燃えてきた。

 

その余裕、完膚なきまでに粉砕してやる。

 

一旦深呼吸した。いざ決戦の時だ

 

 

続く

 

 

 

痴女に遭遇した思い出

高校時代の記憶がまるでない。

自分だけではなく多分、同級生達も自分の事は覚えていないだろう。

虚ろな目で暗く沈んだ顔をしていたと思う。(今もだが)

 

じゃあ、何をしてたのかというとゲームだ。ゲーム大好きだった。

ひたすらゲーム、PSやサターンを夢中になってやっていた。

(moonというゲームが特に好きでプレイしてたのをよく覚えてる)

日曜日には2000円くらいを握りしめ、一人、パジャマみたいな格好でチャリでゲーセンに行きサムライスピリッツやバーチャ2とか格ゲーを主にやっていた。

そのゲーセンは少々いかがわしさが漂っていて照明が少し暗く、カプセルに入った「女性物のいやらしいパンツ」を取るUFOキャッチャー等もあり、キョロキョロ辺りを伺いながら二、三回いや七、八回はチャレンジした記憶がある。

(結局取れなかった)

腹が減ったら自販機のハンバーガー(めちゃくちゃ熱い)をふうふう言いながら食べていた。

そんな感じで日曜日を楽しみに生きていた。楽しかった日曜日。

 

それくらいの記憶しかないと思っていた。

 

しかし一つだけあった。

 

忘れもしない

"痴女"に電車で痴漢されたのだ。

 

これを読んでる方は痴女と聞いてどういう人をイメージするだろうか?

エロサイトとかで"痴女"で検索すると、大体、熟女系のものが多いと思う。

俺もそう思ってた。

 

しかし、この時は違った。

 

ピチッピチッと

何か新鮮な魚が跳ねる音がして振り返ると二人組のJKが俺の尻に尻を押し当ててきたのだ。

 

最初、満員電車なので"偶然"当たってると思っていた。

でも尻の押し具合半端ないし、え、え、え、って???で頭いっぱいの時に後ろの

JK達が何やら囁き合って笑っている。

耳をすますと

 

「困ってる困ってるw」

 

状況が一瞬で理解できた。

つまり彼女達は獲物を探してた。

それも「ダサめで気の弱そうな童貞男」

 

こんな感じのターゲット選定だろう。

 

彼女達にこう言いたかった。「正解!」

 

いや、しかしガンガン尻を押し当ててくるなあ。

柔らかい。至福の時だ。

 

その内、変な欲が出てきて

「もっと嫌がる素振りをした方が彼女達は喜ぶかもしれない」

 

という妄想が湧いた。

我ながら変態発想

痴女vs変態のバトルの始まりである。

 

ちょっと尻を引いてみた。

 

すると案の定、彼女達の「狩り」意欲が刺激されたのか、二つの尻が俺の尻を追ってきてさっきよりもグイグイきた。

GOOD

 

それでもう最高だったのにまた更に欲がでて調子に乗ってもう少し引いてみた。

 

あれ?

 

尻こない

 

「これ以上やるとかわいそうだよ」

彼女達はそう言って次の駅で降りていった。

 

「やりすぎた!」

目の前が真っ暗になり巨大なGAMEOVERの文字がドーンと下りた。

 

それ以来、毎日同じ時間の同じ車両に乗り続けたのだが

彼女達を見る事は二度となかった。

 

「チャンスは二度ねえ」

どっかの漫画で見た台詞の意味をその時に学んだのである。

 

終わり

 

 

 

 

 

 

「夫のちんぽが入らない」こだまさんの本を再読しました。

なぜだかわからないけれど無性に「夫のちんぽが入らない」をもう一度読みたくなった。

 

はじめに読んだのはたしか去年だ。

自分の新しいチャレンジ(かなりしょぼいが)として"電子書籍"を使って本を読みたいと思って探してた所を「ちんぽ???ち○ぽじゃなくて!?これや!」とタイトルだけですぐ決めた。

 

もうこれは理屈ではない。動物的直感だ。

結果、大当たりで凄く面白く読まさせて頂きました。

一番感じたのは圧倒的なリアリティ

 

ハイロウズの14歳という曲に

「リアルよりリアリティ」という部分がある。

僕はこだまさんにお会いした事がないからこだまさんの"リアル"は知らないけれど文章表現から圧倒的なリアリティを感じた。

 

例えば

「ちんぽがコンドームを突き破りヒラヒラと宙を舞った」

 

といった文章は実際にはないけれど書いてあったとしたら信じていただろう。

こだまさんならもしかしたらと

そんな感じで無我夢中の興奮状態で1回目を読み終えた。

 

で、今回はもう少し冷静に自分を抑え読んでみようと思った。

すると「夫のちんぽが入らない」

理由が自分なりに見つかったのだ。

 

「本当に好きな相手とはそういう事をしたくないのかもしれない」という文章を見かけ、思った。

 

それは

 

「もう既にちんぽは"入ってる。故にそれ以上は入らない」

 

完全に自分勝手な妄想ではあるが

自分なりにはしっくりきてる。

 

3回目を読むのが楽しみです。

 

めちゃくちゃオススメな本なので皆様是非!