ぷくとの電話を繰り返してる内に
標準語か福島弁かはわからないが言葉が伝染ってきた。
「だよねー?って言った今?笑」
「言って・・・ないよ、いや、ないやん」
「誤魔化そうとしなくていいよ 笑」
影響受けやすいな自分は、とその時、気がついた。
多分、アメリカに住んだらすぐ英語ペラペラになるんじゃないのかなあとか思ったりした。
次の日NSCに久しぶりに行くとダンスだ。
NSCにはダンスの授業もあった。
久しぶりにジャージを着て一生懸命クネクネしていると鏡越しにクスクスしてる奴が居る。Nだ。
終わった後、Nに「ヒラ3君のダンスおもろいわ」と言われた。
自分的には一生懸命やってるだけなのだが…
N 「そういえば今日の夜から、バイトやんな?俺とO崎さんとヒラ3君の三人でやるから頼むわ」
今日からバイトだ
23〜8時 1時間休憩のみっちり8時間
生活リズム変わるな
牛丼屋は忙しいイメージがある。
しかしコンビニの1人を経験したから大丈夫だろう。
3人でしかも頼もしいNも居る。
ぷくとは夜中まで電話してる事が多かったので報告した
「今日から夜中バイト入る事になったわ」
「何のバイト?風俗?」
「牛丼屋。」
「ぷひゃあああ、笑えるwww牛丼作るの??似合ってないよ」
会った事ないし、顔も知らないのに似合ってないとは???
少し早めにバイトに行くとOさんが居た。
O「おーヒラ3君"おはよう"!!!」
"業界人"の挨拶だな。
「おはようございます!」
O「今日からよろしくねー。でさー早速だけど…」
「はい」
早速、仕事かな?身構えた。
O「今度、江坂で舞台があるんよ。これチラシあげる」
チラシを見るとOさんの名前が確かにある。
O「俺"主演"だから良かったら見に来てよ〜1000円だけど、俺の名前出したら500円になるから」
「わかりました。行けたら行きます」
Nが遅れて来た、何かニヤニヤしてる。
「ヒラ3君とOさん並ぶとおもろいな 笑」
O「どういう事よNちゃん」
N 「いや、不思議やなあと思いまして 笑」
O「なるほど、全員スターになるって事ね?いずれ伝説になるよ」
N 「はあ???」
みんな笑った。
バイトが始まった。
二人から色々と教えてもらい、まずはカウンター係
「いらっしゃいませ!ご注文よろしいでしょうか?」
「並一丁!」
「並つゆだくで一丁!」
「並つゆぬきで一丁!」
「A定一丁!」
とにかく「一丁一丁」言いまくっていた。
仕事振りを見るとNはやはり優秀で、一回の行動で二つ以上の事を涼しい顔でこなしてるように思える。無駄がない。
しかしあまり元気がないのがどうかな?と思ってたが、そこはOさんの超絶なパワーに遠慮していたのだろう。
朝方のOさんのテンションは異常だった。
O「いらっしゃいませ!!!!!!」
俺とN はクスクス笑っていた。
この二人とならやっていけそうだ。
頼もし過ぎる。しかも楽しい。
ついてるなと思った。
朝の帰り道、Nと一緒
N 「そういえばヒラ3君、Oさんの舞台聞いた?江坂であるらしい」
「うん」
N 「おれ、あんま行きたないねんけどヒラ3君行くんなら一緒に行こや」
「いこいこ」
帰って寝てるとぷくから電話があった。
時間を見ると夜21時だ。
初日バイトの疲れか、めちゃくちゃ寝てたようだ。
「バイトどうだった?」
「まあまあかな」
「今日も?」
「うん」
「大変だねー頑張ってね〜〜」
「ほい」
何日かバイトをこなし少しは慣れてきた。
その牛丼屋には賄いシステムというのがあり、4時間働くと牛丼並を一杯食べる事が出来る。
8時間働くと牛丼二杯。
これはデカイなと思った。
食費がめちゃくちゃ浮く。
しかし、牛丼連続食いも最初だけでそのうち"飽き"との闘いになる、結局飽きに負け、他の定食屋で無駄な出費をしていた。
Oさんの演劇の日
Nと二人で地下鉄御堂筋線で江坂まで行った。
二人とも江坂は初めてで
降りた時、街過ぎて感動した。
色味がある。
N 「江坂って都会やな。ハンズあるわ」
「ハンズあるな」
N 「見てヒラ3君!スタバあるわ」
「スタバあるな」
完全に田舎のバカ兄弟の会話だ。
Oさんの演劇を二人で見た。
"主演"と聞いてたのに全然出てこなくて、途中の方で物語と全く無関係な犬みたいな格好をして出てきて
「ワン」と一回吠えて掃けていった。
カーテンコールで、犬のOさんが嫌がるヒロインの女の子を無理矢理、お姫様だっこし、「俺が主演のO」と叫んだ。
よくわからない舞台を見て
Nとせっかく江坂まで来たのだからという事で
お洒落なカフェに寄った。
俺は、なぜだかわからないけれどNに対して「俺はこんなとこ何回も入った事ある」って思われたかった。
"あなたみたいな田舎者"とは違うと。
ええかっこして「カプチーノ」を頼んだ。
カプチーノってなんだろ?と思いながら
Nがニヤニヤしながら「やるやん」
と言った。
カプチーノを見た瞬間、ビックリして
「泡だらけやん」と叫んでしまった。
Nは爆笑していた。
その日は休みだったので
ぷくと電話した。
ぷく「ねーなんか好きになってきたんだけど」
「は?」
ぷく「近いうち大阪行くから待ってて」
続く