手紙 NSC Sの家 西成11

数日後、ぷくから手紙が届いた。

まずビックリしたのが字の綺麗さ。

そして内容も素晴らしかった。

手紙待ってるね。と書かれていた。

プリクラも入っていて

ぷく!という感じだった。

 

ヤバイ。女の子に手紙なんか書いた事ない。

 

ぷく「手紙届いた?」

「うん」

ぷく「良かった〜プリクラも急いで撮ったんだよ友達にお願いして」

「見たよ」

ぷく「〇〇ちゃん(ヒラ3)からの手紙楽しみに待ってるね〜」

 

どうしよう…

 

悩んでても仕方ないのでNSCに行った。

四ツ橋線に乗り大国町で乗り換え

御堂筋線で難波まで行く。

難波についたら5分くらい歩いて教室に着く。

みんなのネタを見る

N岡くんとK戸くんのコンビ上達してるな〜PえとN川のコンビも面白い。SもI君もNもピンネタで爆笑した。

自分が悩んでるのはネタではなく"女の子への手紙"の事。

 

授業終わりにSに「家くる?」と言われSの家に寄った。

 

Sの家は生野区にあった。

部屋にはベッドしか置いていない。

綾波レイみたいな部屋だな。

なんというストイックな奴なんだ。

 

ネタが浮かばないという話を切り出した。

Sはガバガバタバコを吸っていた。

 

S「ネタやらんの?もったいないで」

高く買ってくれてたのかな?

「まじで?」

と言ったら

S「いや、違うねんヒラ3君の事じゃなくてお金払ったやろ学校?」

「うん」

S「そしたらもったいないやん。やりたい事をやりまくっていい場所を買ったのにって事」

「せやな」

S「適当に思いついた事でもドンドン試したらええねん。完成してなくても良いねん。ナルシストやねんな〜ヒラ3君は」

ナルシスト…ナルシストなのかもしれない

「たしかに」

そう言って別れた。

 

Sの言葉に触発されて、パワーがみなぎってきた。

ネタじゃなくて

ぷくへの手紙へのパワーだ。

 

汚くても良い、文章めちゃくちゃでも気持ちさえこもってれば良い。

ダイソーでレターセットを買って帰り

 

部屋で思いのたけをぷくにぶちまけた。

 

そして夜中にポストに投函して寝た。

よっしゃあ!という感じで。

 

数日後、ぷくから電話があった。

「手紙着いた〜?」と聞くと

ぷく「着いたけどさ〜中身何にもないんだけど 笑」

「は?」と言って部屋を見ると、細かな字で書き殴った紙が片隅にあった。

ぷく「お笑い目指してるって言ってたからネタなのかな〜って。妹と話し合ってたんだよ」

「ネタやねん」

全然ネタじゃない…

 

手紙を今度はちゃんと入れてぷくに送った。

 

ぷく「やっと手紙きたよ〜文字小さくて読めなかったから虫メガネ使ってよんでたの。ありがとうね」

 

明らかに"汚い".字だったのに"小さい"に切り替えてしかも、"虫メガネ"という

笑いに変えようとしてくれた。

 

ありがとう。

 

ぷく「言いたい事も伝わってきたよ。そんなに私の事好きなんだね。

そういえば最近、タトゥー彫ったんだよ」

「タトゥー?」

ぷく「狼のタトゥー入れたの。強く生きるって。だから私、バスの予約したよ。来週行くから」

 

来週???

 

 

続く