色彩のある街 OCAT 西成12

バイトにも慣れてきた。

声も大きく出せるようになってきた。

それは多分バイトが楽しかったからだと思う。

チェーン店の安心ポイントは何より、

マニュアルが完備されてるところだ。

それに従ってさえいれば自分みたいな馬鹿でも大きく道を外す事はない。

そして心強いバイト仲間達が居る。

NやOさんが笑わせてくれる。

賄いもある。

言うこと無しだった。

バイトが終わって朝方、店を出ると

色彩がそこにはあった。

 

しかし、ぷくが来るのか…

どうしよう

来たとしてどこに連れて行けば良いのだろう?

meetsみたいな本でも買おうかな…

女の子との過ごし方が全くわからない。

あの散らかった部屋に泊まるのか?

とりあえずピカピカにしておかないとな…

服装はどうしよう…

 

考え出したらキリが無かった。

とりあえずまあなんとかなるやろ。

 

来る前にぷくと電話をした。

ぷく「二泊三日で高速バス予約したよ〜難波のOCATってとこに着くらしい」

"二泊三日"

ぷく「ヒラ3ちゃんの家に泊まらせてね」

「狭いけど良いの?」

ぷく「全然いいよ〜」

 

翌日から大掃除が始まった。

不思議なもので誰かが来ると分かると身体が動く。

 

ぷくが来る日、早朝だった。

1時間も早く難波OCATで待っていた。

ぷく「どんな格好してるの??」

「一番ダサい奴を見つけてくれたら良いよ」

ぷく「一番ダサい奴だね〜わかった」

実際ダサかった。今もだけど。

 

緊張しすぎてとりあえず朝マック朝マック二つも食べてた。

食べた気がしないし全然味がしなかったからだ。

食べた後、ヤバイ!朝マックの口臭が!とか思って、トイレでうがい30回くらいした。

 

バスが到着した。

なんとなくびびって柱に隠れた。

ぞろぞろと降りてきた。

ぷくだ!見た瞬間わかった。

 

キョロキョロしてる。

行かなくては、、、

ぷくの方に向かった。

ぷくと目が合った。

ぷく「ヒラ3ちゃん?」

「うん」

ぷく「大変だったよ〜バス」

ぷくは無表情だった。

 

「お腹減った?どっかお店行く?」

ぷく「ううん、バスで食べたし疲れたから家で休みたい」

「あ、わかった」

無表情で無言のぷくと二人で、地下鉄に乗った。

凄く重そうな荷物があったので

「持つわ」

ぷく「ありがと」

これくらいの会話しかしていない。

嫌われたのかな。まあダサいから仕方ない。後は迷惑かけないようにだけしよう。

 

部屋に着いた。

部屋のドアを開けてドアを閉めた途端、

ぷくが抱きついてきた。

 

???

 

ぷく「ダサいからじゃないよ!すぐわかったんだよあの人だって!直感!まあダサいけどね〜〜笑」

抱きついてきてぷくは笑いだした。

 

ぷく「バスで寝てないから眠たいんだよね〜布団勝手に敷くね〜〜横来て」

シングル布団なので少しはみ出しながら横に寝た。

身体半分は床にある。

 

するとまた抱きついてきた。

 

不思議とエロいとか興奮とかあんまりなくてただただくすぐったい。

女性の身体の柔らかさにもビックリした。

 

色々話したりイチャついたりご飯食べたりしてる内にあっという間に3日経ち、ぷくが帰る日が来た。

 

OCATまで送りに行く。

ぷくが泣いている。

バスの扉が開いた。

 

ぷく「一緒に住むって決めたから」

え?

ぷく「バイバーイ♪」

西成に着くと色彩のある街がそこにはあった。

 

続く