5年後7

おもしろTシャツ授業の日

 

教室に入るとみんなガヤガヤしていた。

既におもしろTシャツを着てる人が何人かいる。

大半の人はカバンの中にまだおもしろTシャツをしまっていた。

自分も「リュックサック背負ってるみたいなTシャツ」をカバンにしまってた。

 

既に着てる人はみんなからなんか楽しくいじられている。

 

楽しそうだ。良い雰囲気。

もっとピリピリした空間をイメージしていた。

NSCの時みたいな

「おれの方がおもろいんじゃオラ!」

みたいな殺伐とした状況だと。

こういう空間良いなあと思った。

みんなが一人一人自分が面白いと思ったTシャツを着ているという事は

なによりも大きな自分の一票がそれぞれのシャツに詰まっている。

つまらないTシャツは一つもない。

 

授業が始まりみんなTシャツを出し始めた。

色々なTシャツがそこにはあった。

新聞の切り抜きが貼ってあるTシャツ

するめいかが貼り付けてあるTシャツ

青のりと鰹節が貼り付けられてるお好み焼きTシャツ

 

みんな変な事考えるなあと思った。

とんでもない事にその時まで自分はまともだと思っていた。

しかし、悔しいけれど変な奴だと思う。

みんな変、

みん変

み変

 

先生が「おもしろTシャツ大会を開催する」と叫んだ。

あっ!こいつ一番変だろと思った。

 

小さい頃、大人の人達はみんな真面目に一生懸命働いて真面目だと思っていた。

しかし、ここに居る人達は自分も含めてなにもかもがおかしいし変だ。

何やってんだ俺はと思うと笑けてきた。

必死に笑いをこらえていると先生が

 

「まず"予選"として近くの人同士で一番面白いと思うTシャツを決めろ」

 

頭の中で今の言葉を繰り返した。

 

まずよせんとしてちかくのひとどうしでいちばんおもしろいとおもうてぃーしゃつをきめろ

 

そんな言葉今まで聞いたことないし!

と思うとますます笑いが込み上げてきた。

 

結果として、自分のシャツはその"予選"を勝ち抜けずに予選落ちした。

正直、めちゃくちゃ悔しかった。

 

で、各予選を勝ち抜いた"代表"が前に立ってみんなの投票により

一番面白いTシャツが決まった。

 

みんな拍手👏

 

楽しい中での競争で優勝

 

最初は、なんだこの空間?と思って

笑っていたがいざ中に入って真剣勝負をすると本気で悔しがっていた自分がそこにはいた。

そしてだからこそ優勝者を心の底から称え称えようという気持ちになれたのかもしれない。

自分も優勝したかったから。

 

授業終わりに、飲み会に参加した。

先生の近くは"初日の失敗"もあって避ける事にした。

 

みんなと話してみようと思ったのもあるかもしれない。

自分が面白いと思った彼らととにかく喋りたかった。

 

深夜の帰り道、ベロンベロンになりながら西成まで歩いた。

 

深夜といえば深夜バスで福島に行った事があった。

ぷくが出ていった日

一番驚いたのは部屋がめちゃくちゃ広くなったなと思った事だった。

 

ぷくとはまだ別れた訳ではなかった。

遠距離恋愛に戻っただけだ。

"実際には戻ってない"というのはその時わからなかった。

 

思い出の中で自分は難波OCATに向かった。

はじめてぷくを迎えに来た場所だ。

懐かしい不思議な気分。

今度は自分がバスに乗ってぷくに会いに行く。

待ってろよ。

 

続く