そんな"死んだ魚の目"
をしながらパチンコを打つ日々の中
とある日、同じマンションに住んでる同期のNが「話あんねん、部屋来て」
と突然メールがあり5階から3階に降り慣れた階段を降り見慣れたドアのインターホンを鳴らして部屋に行くと、そこにはNともう一人見知らぬ男が居た。
Nは「紹介するわ同じ地元のFて言うねん。コンビ組むねん」
Fは「ヒラ3さんですね、話はNから"ある程度"聞いてます。宜しくです」
と言ってきた記憶がある。
俺は頭がパニックになり、それは
今までピンでずっとやってきたNにも聞きたい事は山ほどあったけれど、それよりもFに興味がめちゃくちゃ湧いた。
とりあえず見知らぬ男Fから話を聞く
「え?F君はなんでNと何でコンビ組もうと思ったん?」
F「Nとは高校の野球部で一緒になって知り合ってこいつ面白いなと思って友だちになったんです。」
「なるほど、で、なんでまた高校時代から数年経ってお笑いしたいと思ったん?」
Fは「"ケジメ"をつけたかったんです」
ん?ケジメ?
"ケジメ"という言葉の定義は?
ネットで調べると
「けじめをつける」とは、物事の区切りや責任の所在を明確にし、しっかりとした態度を示すこと。仕事とプライベートの線引き、失敗の責任を取る際などに使われ、曖昧な状態を解消して次に進む意味を持つ。類語には「落とし前をつける」「ケリをつける」「責任をとる」などがある。
NとFがコンビを組み、程なく何となくFとも仲良くなった。
最初の内はNと3人で話したりしてたけど
気付けばFと二人の時間も増えていった。
具体的に言うとパチンコ行ったりハンバーグ屋行ったりカラオケ行ったりだ。
だんだん仲良くなってFから「ステーキ食いに行きましょう」と連絡が来て嬉しくて
Fは散策が好きだったからこの街の隠れた名店でも探してきたのかな?と思ったら
思いっきり"やよい軒"だった事もあった。
あと、Fは音楽が好きだったので
木村祐一みたいなマスターが居る、独特な雰囲気な音楽BARにもよく行った。
そこのビールは必ずスタイナーの瓶ビールで必ず付き出しは柿ピーと決められていた。
そんな日々をFと過ごしながら
とある日、二人で夜道を歩きながら
公園で酒を飲んで話していた。
F「最近、ヒラ3君とばかり話してますね」
「まあ、コンビになったという事は仕事のパートナーやからな」
F「パートナー?」
「よく聞く話やけどコンビになったら情を抑える為にプライベートを分けるみたいな」
F「なるほど」
「F君て大阪来る前はどんな仕事してたん?」
F「家業を継いでました。で、父親に色々としごかれてまあ、カタチにはなりました。収入も増えてきてまあ、それなりにお金も貰いあまり生活にも困らなくなりました。」
「ええやん」
F「けれど、そういう日々を過ごしてる内に何かやり残した事があるなあと」
「やり残した事?」
F「あいつと何かに挑戦したかったんです」
NとFはコンビを組み、必死に挑戦し続けていた。オーディションを片っ端から受け、インディーズのライブにも精力的に参加していた。
けれど、その努力は実らず一年程、経った時、
Fは「突然ですが帰ります、ヒラ3君誰も知らないこの街で話し相手になってくれて今までありがとうございます。」
Fは一年という自分自身で時間を決めてたのか。
F「で、ヒラ3君に言いたい事があります」
「ん?何?」
F「ヒラ3君はインタビュアーに向いてます」
インタビュアー?は?なんやこいつ
俺はお笑い目指してるんだぞ!その瞬間、
ハッとした。どこからか声がする。
「ヒラ3さんて自分の事言わないで人の話ばかりしますよね?」
そう、わかってはいた。
自分の話なんか誰も聴かないし興味もない。
それはもっと子供の時から何となく分かってはいた。
故に仲良い人の話を聞こうと思った。
仲良い人の話を聞くと仲良いが故に必ず自分との"共感点"が生まれる。
なぜなら仲良いからだ。
今ではそれがハッキリと解る。
Fは地元に帰っていった。
Fが居なくなり、俺も話し相手が居ないので寂しくなったとき、一通のハガキが届いた。
Fからだ。
そのハガキにはめちゃくちゃデカい文字で
「絆」とだけ書かれていた。
続く