小学生と将棋対決!将棋道場に行った日2

前回の記事

http://hauto3.hatenablog.com/entry/2018/11/14/230145

の続き

 

いよいよ丸坊主の小学生と対決する事になった。

おじいさんが「そこに座って〜」

と指さしたパイプイスに座った。

狭い!後ろのパイプイスとカチカチ当たってる。

なんとか無理矢理腰を下ろした。胸がテーブルに圧迫されている。

小学生仕様かよ。

 

小学生「チェスクロック使う〜〜?」

 

チェスクロックか、見た事あるけど使った事ない。

 

小学生「じゃあなしで」

淡々と小慣れた感じで小学生が「振り駒」を始めた。

見ると小学生が王将、自分は玉将だ。

 

知らない方に少し説明すると

将棋では上位者が「王将」の駒を使い、

下位者は「玉将」の駒を使う。

そして振り駒というのは上位者が自分の歩を5枚すごろくのサイコロのように放り投げ、

"歩"の数が多ければ王将側先手、裏側である"と"の数が多ければ玉将側先手というシステムだ。

 

との数が3枚出た。先手。

 

将棋は微差ではあるが先手有利、

と言われてる。

よし!

 

俺「お願いします」

小学生「お願いしま〜す」

 

戦の始まりだ。

まず飛車先の歩を突いてみた。

向こうも飛車先を突いてくる。

おっきたか。負けられない。

 

横歩を取った。勇気の要る危険な戦法だ。なぜ、こんな戦法選んでしまったんだろう。明らかに浮足立ってる。

 

米長永世棋聖が昔

「横歩を取れない男に負けるわけにはいかない」

と対戦相手を挑発した言葉が頭に残っていたのか

 

小「横歩取りかー、じゃあこれやってみようかな♪」パシッ

 

45角戦法だ。

 

谷川永世名人が考案した横歩取り後手番対策、簡単に言うと"ハメ技"だ。

現在では対策が"定跡化"されており、

「知識」があり「手順を間違えさえしなければ」粉砕できる。

ので、プロ棋士でこの戦法を使う人は現在では全くいない。しかし知らないとまず負ける。

 

やばい…どうしよう…

少ししか定跡知らないし…うろ覚えだ…

とりあえず何となく指してみる。

パシッ、パシッ、パシッ、パシッ

小学生はノータイムで勢いよく指してくる。定跡を知ってるのだろう。

 

どんどん劣勢になり考えるが良い手が

浮かばない。長考に沈む。見ると、小学生が暇そうに足をバタバタし始めた。

足元で何かが散らばった音がした。

 

下を見るとペットボトルの蓋が袋からジャラジャラ出てきてる。

 

小「あーーー最悪や〜〜」

俺「なにそれ蓋?集めてるの?」

小「そう!」

 

拾うのを手伝った。俺達の世代でいうと

牛乳瓶の蓋みたいな物なのかな。

いつの時代も小学生は何かを集めている。

 

少し落ちついてきて盛り返したが、

どうやら足りない。

 

投了しようとしたら、

小「まだいけるやーん。そこに逃げられたら、、結構困るかも〜〜」

優しい子だ

 

少し指したけどやっぱり負けを悟った。

悔しい。

将棋のような運に左右されないゲームでは基本「馬鹿」な方が負けるのだ。

つまり俺は馬鹿だから負けたのだ。

 

負けました
といって頭を下げるのが、
正しい投了の仕方。

つらい瞬間です。
でも「負けました」と
はっきり言える人はプロでも強くなる。

これをいいかげんにしている人は
上にいけません。」

 

谷川永世名人の45角戦法に敗れ

谷川永世名人の言葉が頭に浮かんだ

なんという皮肉だろう

 

頭を深々と下げ

「負けました!」と声を出した

小学生「ありがとうございました!」

 

小学生「変な人に勝ったー!!!」

と叫んだ

 

一敗スタートだ。

 

おじいさんが来て

「じゃあ次はこの子と指してみて」

 

見ると大人しそうな少年が立ってる。

暗く沈んだような目をしていた。

 

3へ続く