とある日の夜、俺たちは大阪ミナミの王将に居た。
混み合った店内の床がめちゃくちゃヌルヌルする。
KとWが無言で餃子を口に運んでいる。
「俺ら居る意味あるんすかねえ」
Kがモグモグしながら話しだす。
俺たちは作家学校と繋がりがあるお笑いライブの手伝いに参加していた。
その帰りに王将に寄ったのだ。
ただ、そのライブに正規ルートではなく裏ルートから入った俺たちはよそ者感が半端なく肩身が狭かった。
一緒に自主ライブをやったTはもう居ない。
彼はとあるオーディションに受かり一抜けしていた。
取り残された3人。
行き場所が無く、やる事もなくただ目の前の餃子を食らう。
無に等しい時間。
俺ら3人はいい加減にそれぞれの進路を決めようとしていた。
Kと別れた後、Wとは帰り道の方向が一緒だったので歩きながらよく話した。
ミナミから26号線を南に下っていく。
タクシーに乗る気にはならなかった。
W「これからどうします?」
さっきの話の続きだ。
まあ、芸人さんとの関係を築くチャンスがあるのだから今考えたら続けるべきなのだろう。
けれども俺はその時本当わからなかった。自分が何をしたいのかが、
夜道を歩いていく。
何となくむしゃくしゃして道に落ちてた空き缶を蹴った。
普段、そんな事しないのに。
そしたらWが「どうしたんすか?普段そんな事しませんやん?」と笑った。
俺は見透かされたと感じて笑いを堪えながら誤魔化すようにちょっと怒ったような感じで
「結構、俺は缶蹴るよ」
と言った。
続く