そしてパケ死へ…西成7

その日を境にあまり養成所には行かなくなった。

たまにネタを見に行く度にクラスの人数が減っていた。

NSCで残るのは一握りの人間だけで大半は辞める。その大半の人になりつつあった。

Sと久しぶりに話す。

あれ?Yが居ない

S「ああ、あいつ、高知帰ったわ。」

「なんで?」

S「俺のネタ気に入らん言うてきて、じゃあお前面白い事やれや言うたら、墓場の墓石倒しよってんやばいやろ」

「まじかよ」

S「こら、あかん思って解散しよ言うたら、じゃあ俺田舎帰るわって知らんがな」

「そうなんや…」

 

本当に帰ったかどうかわからないがあんなにパワーがあってワイルドに見える奴いや、ああいう風な奴ほど繊細なのかもしれない。

少し寂しくなった。

S「だからしばらくピンでやんねん」

 

家に帰って、ダラダラしていた。

やる事がない。

誰も知らない街のマンションの小さなワンルームでダラダラするのは悪くなかった。しかし暇だ。

 

暇な時は大体携帯をいじっていた。

当時はケータイでもようやくiモードが出だしてインターネットに繋ぐ事が出来たが、パケット定額制なんかなく何秒でいくらかかるとかいうダイヤルQ2方式だった。

なので少し操作しては一回切ってまた少し操作しては一回切るという事を繰り返しながらやっていた。

 

やってたのは自分のHPみたいなのを作って掲示板に投稿する。といった今でいうSNSのようなものだった。

 

ふざけた事を繰り返し投稿して誰かから反応ないか、ハガキ職人みたいな気分でずっとやっていた。

たまに反応があったりしたら嬉しかった。

 

その掲示板(タイムライン)を毎日毎日見ていると

だんだんHNを覚えてくる。

こいつ、この時間またおるな。

「ぷく」というHNの人が気になり始めた。

ぷくは面白い事を書きこんでいた。

すると、ぷくは人気者だったみたいで

周りの人達がすかさず「ぷく最高」とか

「面白いよ」とか持ち上げていた。

「ぷくの騎士」とか「ぷく親衛隊」と言ったHNの人達も居た。

女か???女王気取りかよ

 

この派閥やばいなと思って

あまり関わらないようにしていた。

 

しかしある日、ぷくの書き込みが妙に

 

こっちの書き込みに関連してるような

事ばかり書いてくるようになった。

リプライこそして来ないものの何か気になる。

無視してたら次第にエスカレートして

 

瓜瓜瓜瓜無視すんな

と書き込まれていた。

(当時、自分は

「瓜」というHNだった。)

 

自分のHPにDMが届いた。

「ぷく親衛隊より」と書かれてる。

 

開けると「ぷくが話したいって言ってるOK?」

 

自分で来いよ。

めちゃくちゃ強引だな。

高知に帰ったYがポチポチやってんのを想像した。

 

ぷくには少し興味があったので

良いですよー

と返したら

 

ぷくから電話しよ〜とDMが届いた。

 

 

続く