楽しい楽しくない

デート終えたカップルの帰り道

 

A「楽しかったな〜イルミネーションめちゃくちゃ綺麗だったよな最高」

 

B「ああ…そうだね…」

 

A「ん?あれ楽しくなかった?笑ってたじゃん」

 

B「え…いや楽しかったよ」

 

A「なんか暗いじゃん。ははーん。そっか俺としばらく会えなくなると思って寂しくなったのか〜〜笑」

 

B「いや、そんなんじゃなくて」

 

A「"そんなん"?」

 

B「A君さ〜めちゃくちゃ楽しそうだったよね今日。点数でいうといくつ?」

 

A「点数?そら100でしょ!」

 

B「は〜やっぱり…私75くらいだったの…楽しさ点数」

 

A「まあまあ高いじゃんマイナスじゃないなら良いじゃん楽しかったんなら」

 

B「でも、A君より25点楽しくなかったとも言えるよね?私も100が良かったの。でも無理だった…」

 

A「なんで?」

 

B「あなたが先に100に到達したからよ。あまりに横でニコニコはしゃいで嬉しそうで…途中からなんだこいつ私より楽しそうにしやがってと思った正直」

 

A「は?おまえも100になったら良いじゃん二人で100なら最高じゃん」

 

B「いや、それは理想だけどありえないの。私が100になったら多分A君は75くらいになるわ。なると思う!だから良いの私は75で。」

 

A「なんだよ。面倒くさいな〜何か楽しくなくなってきたわ…」

 

B「(嬉しそうに)え!点数いくつ?」

 

A「何急に目輝かせてんだよ…75くらいになったわ…おまえが面倒くさい事言うからだぞ…」

 

B「やったー楽しくなってきた〜バイバーイ♪」

 

A「………」

 

 

 

電話 金欠 Nに頼る 西成8

ぷくが電話番号を書いていた。

躊躇しながらもとりあえず掛けてみた。

もしもし と言うと

「もしもし〜」

女性の声だった。ハスキーボイスだ。

「何やったん?」と聞くと

「関西の人なの?」

「今大阪」

ぷくは標準語だった。少し訛っている。

「そうなんだ〜ねえ?何で変なことばっかり書き込んでるの?笑っちゃうんだけど」

「いや、なんとなく…」

「なんとなく変な事を書き込む人なんだね〜ウケる」

 

そんな始まりだった。

少し自分に興味があるみたいだ。

声はハスキーで宇多田ヒカルに似ていた。本人にそれを伝えると喜んでいた。宇多田ヒカルジュディマリYUKIが好きで歌手を目指してるらしい。

 

「ぷく親衛隊てなんなん?」と聞くと

大笑いして

「いや、なんか勝手に持ち上げくる人が居てさ〜」

 

ぷくは福島県の一個下の女の子だった。

 

NSCにも行かずダラダラして

ぷくと電話ばかりしていた。凄くしょうもない話から真面目な話下ネタまで色々と。

楽しかったのだろう。

 

ぷくと電話をして1カ月立った後の電話料金を見て驚愕した。

68000円

何コレ?何これ百景。

 

貯金がやばくなってきた。バイトしなきゃ。タウンワークみたいなのを取ってきて探すと近くのコンビニで募集してるらしい。早速、コンビニに行くと履歴書を碌に見なくて即採用だった。

ラッキーだ。深夜勤務を言い渡された。

23時〜8時

 

23時前に行くと若い30くらいのオーナーは彼女らしき人を連れていて「まあ頼むよ〜

」といった感じだったが、NO2の店長を任されてる男は真面目タイプの人だった。

「これから一人で深夜入って貰うけど結構大変だからね」

 

コンビニの仕事は地元で深夜、大学生の友人が一人でやってるところに何回も遊びに行ってた事もあり楽勝だと思っていた。

田んぼの真ん中にあるコンビニで

夏になると外のガラスにビッシリとカメムシがへばりつく。

車通りもほぼ無し

友人は「暇過ぎてよく寝る」と言っていた。それを鵜呑みにしていた。

 

店長に仕事を教えて貰う。

めちゃくちゃやる事があるな、大変だ。

そこではポテチの袋の皺を伸ばして綺麗に整えるというのもやっていて、

「そこまでするんや…あれ?やばいかも」と思った。2時間くらいかけてみっちり詰め込まれて教えてもらって

 

店長が「じゃあ、一人で今日入ってみて。俺帰るから」

 

マジ?無理やろ。レジ以外わからないぞ。まあ良いっか。どうせ誰も深夜来ないやろ。と思ってると

 

田舎と違い結構頻繁にお客さんが来て

めちゃくちゃ大変だった。

客が居ない合間を縫って掃除、ガラスをダスキンでやったりポテチの袋を整えたり、在庫の数を書いたり

途中からもうポテチの袋は放棄した。

忙し過ぎてパニックになったまま、朝を迎えた。

これは無理やな。コンビニ舐めてた。

やめよ。

店長に電話をすると「何考えてんねん1日で!仕事なめ過ぎやろ!大体な…」

 

ワーワー言われてすみませんすみませんと繰り返し電話の前でペコペコしていた。

コンビニはもうやめよ。

 

そういえばNは何のバイトしてるんやろ?

同じマンションに住んでるN 。

彼も当然バイトしてるだろう。

Nに電話すると、「家をおるから来て話しする?」と言った。

相変わらず気さくな人だ。

「行くわー」と言ってすぐ行くとピンポン鳴らしても出てこない。

しばらくするとガチャとドアが開き

裸のN が現れた。

「シャワー浴びててんごめんな、早かったな」と言った。

裸のままのNが話しかけてくる。

 

N 「で、なんやったん?」

「あ、服着たら?」

N 「ちょっと冷ましてんねん」

「ええ身体やな」と言うと

N 「せやねん。ええ身体やねん」

と言ってご満悦な感じで

N 「そろそろええかな」と言って

紫のTシャツを着た。

一つの儀式をやり終えた気がした。

 

「あの〜バイト探してんねんけどN君何のバイトしてんの?」

N 「あーちょっと歩いてすぐの牛丼屋やで」

「え!あそこ?」

 

何回か行った事があったけどNを見かけた事がなかった。

 

N 「深夜しか入ってないからなー。深夜は時給が高いねん。今人足らんから良かったらヒラ3君店長に言うとくわ」

「ありがとう頼むわ」

 

Nに頼んで新しいバイト先が決まった。

優しい人と同じマンションで良かった。

 

続く

 

 

そしてパケ死へ…西成7

その日を境にあまり養成所には行かなくなった。

たまにネタを見に行く度にクラスの人数が減っていた。

NSCで残るのは一握りの人間だけで大半は辞める。その大半の人になりつつあった。

Sと久しぶりに話す。

あれ?Yが居ない

S「ああ、あいつ、高知帰ったわ。」

「なんで?」

S「俺のネタ気に入らん言うてきて、じゃあお前面白い事やれや言うたら、墓場の墓石倒しよってんやばいやろ」

「まじかよ」

S「こら、あかん思って解散しよ言うたら、じゃあ俺田舎帰るわって知らんがな」

「そうなんや…」

 

本当に帰ったかどうかわからないがあんなにパワーがあってワイルドに見える奴いや、ああいう風な奴ほど繊細なのかもしれない。

少し寂しくなった。

S「だからしばらくピンでやんねん」

 

家に帰って、ダラダラしていた。

やる事がない。

誰も知らない街のマンションの小さなワンルームでダラダラするのは悪くなかった。しかし暇だ。

 

暇な時は大体携帯をいじっていた。

当時はケータイでもようやくiモードが出だしてインターネットに繋ぐ事が出来たが、パケット定額制なんかなく何秒でいくらかかるとかいうダイヤルQ2方式だった。

なので少し操作しては一回切ってまた少し操作しては一回切るという事を繰り返しながらやっていた。

 

やってたのは自分のHPみたいなのを作って掲示板に投稿する。といった今でいうSNSのようなものだった。

 

ふざけた事を繰り返し投稿して誰かから反応ないか、ハガキ職人みたいな気分でずっとやっていた。

たまに反応があったりしたら嬉しかった。

 

その掲示板(タイムライン)を毎日毎日見ていると

だんだんHNを覚えてくる。

こいつ、この時間またおるな。

「ぷく」というHNの人が気になり始めた。

ぷくは面白い事を書きこんでいた。

すると、ぷくは人気者だったみたいで

周りの人達がすかさず「ぷく最高」とか

「面白いよ」とか持ち上げていた。

「ぷくの騎士」とか「ぷく親衛隊」と言ったHNの人達も居た。

女か???女王気取りかよ

 

この派閥やばいなと思って

あまり関わらないようにしていた。

 

しかしある日、ぷくの書き込みが妙に

 

こっちの書き込みに関連してるような

事ばかり書いてくるようになった。

リプライこそして来ないものの何か気になる。

無視してたら次第にエスカレートして

 

瓜瓜瓜瓜無視すんな

と書き込まれていた。

(当時、自分は

「瓜」というHNだった。)

 

自分のHPにDMが届いた。

「ぷく親衛隊より」と書かれてる。

 

開けると「ぷくが話したいって言ってるOK?」

 

自分で来いよ。

めちゃくちゃ強引だな。

高知に帰ったYがポチポチやってんのを想像した。

 

ぷくには少し興味があったので

良いですよー

と返したら

 

ぷくから電話しよ〜とDMが届いた。

 

 

続く

 

N ケンタッキー SとY 西成6

N「あれ?裸のネタの人やんな?凄い偶然やな。今から行くん?一緒に行こや」

覚えててくれてた。

 

Nはシュッとした岡山出身の男前だ。

「N君シュッとしてるな」と言うと

「シュッとしてんねん」

シュッとしてるのは自分でも分かっててシュッとしてると言われるのが嬉しそうだ。

しかしシュッてなんだろ?

彼はピンでネタをやっていた。

猪木の顔写真を身体に貼り付け病院に行き医師に病状を訴えかけるネタや

裸になって身体中に味噌を塗りたくるネタ(先生に床を汚すなと怒られていた)

そういった奇抜なネタを披露していて

周りからの評価も高かった。

優等生的なイメージだ。

実際に彼はクラスから何人か選抜されて

行う他の養成所との合同イベントに

選抜されていた。

 

同じマンションに居ると

めちゃくちゃ心強いな刺激になるしツイてると思った。

 

色々話しながら

教室に着いた。Nは社交的でもあったので(本人は人見知りと言っていたが)

Nに喋りかけにきた人が「あれ?友達やったん?」

N 「せやねん。一緒のマンションやってん」

すると今まで異物を見るような目線だったクラスの人達の対応が暖かく変わったように思えた。

Nの影響力すげえなと思った。

 

みんなのネタを見る授業が終わった。

自分もやりたかったけど

直してないしなあ…

家に帰り新ネタを考えようとした。

浮かばない…

 

なんとなくテレビを見てたらCMで

「ケンタッキーは誰が育てたかわからない鶏は使わない」とやっていた。

 

このフレーズ良いなあ。

これを柱にしようと思った。

 

先生シリーズ第二弾

生徒指導室にて

「学校で飼ってる鶏をケンタッキーに売りにいこうとした生徒を叱る」というネタが出来た。

決め台詞は「ケンタッキーは誰が育てたかわからん鶏は使わんねん!」だ。

 

出来た事に満足してろくに練習もせずに寝た。明日披露しよう。

一回出来たから大丈夫だろ。

 

教室に着いて自信満々に名前を書く。

自分の番が来た。前回ほどの緊張はない。よしやるぞ。

 

やりはじめた。

あれ?何をするんだっけ?

ネタ飛ぶ所じゃなくて何にも覚えてない。あのフレーズだけしか。

「えーっと、えーっと…」

声も小さくなってきた。

前の人達の顔を見ると下を向いていた。

見てられんわ…といった…いたたまれなくなって

途中で「ありがとうございました」

と言って終えた。惨憺たる結果だ。

先生に「練習しろ!」と怒鳴られた。

 

小さくなって座った。

誰も話しかけに来なかった。

 

頭真っ白で居ると

ネタ見せに知ってる顔が二つ並んだ。

SとYだ

SとYが漫才をしていた。

ネタは

コロコロコミックのキャラクターをやりたいとSが言う。

Yがやってみいやと言うと

ダッシュ四駆郎ミニ四駆おぼっちゃまくんの亀みたいに紐で引いて登場したり

ドッジ弾平が裁判官になって魔球敗訴ボールを投げると言った。

破茶滅茶なネタだ。

教室中大爆笑に包まれた。

 

その日は誰とも話さずに帰った。

どうしよう…

 

西成の色彩が灰色一色に戻っていた。

 

続く

カレー

カレーが好きだ。

カレーは美味しい。

2日目のカレーも美味しい

しかし3日目のカレーから異変が起きる…「これは食べるけど…もう当分カレーはいらない」

 

そして、また日々が経ち

鯖の塩焼き定食とか食べてる時に

「あれ?そういえば、"あいつ"何してるんだろう?」

 

そして、またカレーを食べ

嫌になる。繰り返しだ。

 

この現象は他の食べ物でも多少は起こるが、カレーほど高くないように思える。

なぜカレーだけ強く印象に残るのだろう。

考えると明らかにカレーだけ辛さをメインに据えて刺激が強いし見た目的にもドロドロした茶色の液をご飯にかけるという異質な存在だ。

なによりパワーを感じる。元気の源。

3日目嫌になるのは、既にパワーを得た状態だからだろう。

 

パワーがなくなってきた。

明日カレーを食べよう。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

NSC初の手見せ そして新たな出会い 西成5

Sはちょいと濃いめで背が高い山田孝之に似てる。男前だ。

Sは色々と遊びを教えてくれた。

健全なものからいかがわしいものまで幅広く、前に書いたテレクラ記事の"友人"はSの事だ。

http://hauto3.hatenablog.com/entry/2017/10/27/012734 参照

徳島から出てきたパンクス、財布にはいつも鎖が付いていた。

最初見た時、トゲトゲの皮ジャンを着ていたが同じクラスに Sより"強め"のモヒカンでバリバリのパンクロッカーが居たため、Sはトゲトゲ皮ジャン着るのをいきなりやめた。「被ったらあかんからな」

何も言ってないのに勝手に弁明していた。

 

Sと別れた後、なぜかやる気MAXだ。

良い刺激を受けたのだろう。

家に帰り早速ネタにとりかかる。

「なんでもええわ頭に思いついた事で。」

発声でめちゃくちゃ怒られて開き直っていたのかもしれない。

あれより"酷い"事はもう起こらないだろうと。

うーむ。何しよう。

なんとなく

 

中学の頃、スキンヘッドの体育教師が居て陸上部の顧問で男子には厳しく"女子"には優しい典型的なムカつく野郎の事を思い出した。

気に入った女子には個人的に呼び出して特別な指導をしてると噂も立っていた。

 

ネタができた。

「体育教師が突然裸で学校に来た生徒を

生徒指導室で指導する」

 

椅子に座りジャージに笛、腕組み

「あのさあ…何から注意すれば良いのか…先生正直わからんわ…いったいお前に何があったんや」

導入部分はこんな感じで

「お前の事を英語で言うとTHE スッポンポン is keep walking on the groundやわ」

という自分なりにウケそうなメインディッシュも出来た。意味不明で文法めちゃくちゃだけど、そのフレーズを気に入ってた。

 

マンションの狭いワンルーム

「the スッポンポン is keep walking on the  ground」を二百回くらい繰り返し練習した。噛まなくなるまで。

 

いざ、手見せ。

手見せをする人間はホワイトボードに名前を書く。

ヒラ3と書いた瞬間少し後悔した。

ドキドキする。

自分の番がきた。前に立つ。

見られてる。そこには目がたくさんあった。魚群みたいに見えた。

 

開き直って、めちゃくちゃ大きい声でやった。ウケるとかどうでもいいまくし立てた。

the スッポンポン is keep walking on the ground を噛まずに言えた。

それだけでも良しとした。無事やり終えた。怒られるのを覚悟

 

先生が「うんうんうん、もうちょい練ったら形にはなるかもな、まあもっと頑張って」

 

あれ?意外に肯定的?

まあ良かった。

授業終わりSに「やっぱ変やったで」と言われた。

清々しい気分で帰った。

西成なのに景色がいつもと違い色鮮やかに感じた。

 

次の日も手見せ、

昨日やったからとりあえず今日はやらずに、みんなのネタ見に行こうと思ってマンションのエレベーターを降りた。階段から誰か降りてくる。

 

瞬間、ハッとなった。

向こうもビックリしてた。

 

Nとの出会い。

彼もNSC生、しかも同じクラスの。

同じマンションだったのかよ。

どんな偶然なんだ。

 

 

続く

 

 

 

 

 

ピン 西成4

YとSを見送った後、

気分がスッキリしていた。

自分の役目を終え"無事"解散できたからだと思う。一仕事したみたいな感じになっていたのだろう。

電車に乗り帰ってる途中、また一人かと思うと少し寂しさを感じた。

二人は今ごろどんな会話をしているだろう。

ニケツでキッズリターンしてるだろうか。

不思議とあんなに嫌だったYの"強引さ"そんなに嫌いじゃなかったかもな、とか考えていた。

 

まあしかしとりあえず手見せ一回したいなあ。

ピンネタをとりあえず作ろうと思った。

 

うう…何にも浮かばない…ピンネタって

どうやって作るねん!

とりあえず寝た。

 

次の日、発声練習

お?

YとSが隣同士になってる。

上手くいったのかな。世話焼きおばさんみたいな気持ちになっていた。

 

授業が始まり

先生が「よし今日は一人ずつやっていくぞ」

ん?

先生「端のお前から順番に叫べ」

あめんぼあかいなあいうえお!

「はい次!」

うきもにこえびもおよいでる!

やばい、順番が迫ってくる。

こういう「今まで全員でやってたのに、いきなり一人でやれって言うシステム」苦手過ぎる。

一行ずつ来てる。

自分の箇所どこや、慌てて探した。

自分の番がきた。

 

大きい声で叫んだつもりだった。

先生「もう一回!」

ここまで誰も"もう一回"なんて言われてない。

もう一回叫んだ。

先生が近くにきた。

「お前、何やってんねん?もっと叫べ早く!」

何でこんな事言ったのか今でもわからないが「最大限でですか?」

何人か笑った

「当たり前やろが!そんな蚊みたいな声誰も聞こえへんで!お前、何しにきたんや!」

顔真っ赤になった。

たしかにそうだ。自分は"何しに"きたんだろう。

その後、繰り返し"指導"して貰ったおかげで

先生に「少しはマシになったな、しかしまだまだや。家で練習しとけ」

なんとか終わった。

 

頭がボーゼンとなっていて「何しにきたんだろう本当に」とずっと考えていた。

とにかく帰るか…

 

階段を登っていると(NSCの教室は当時地下にあった)

Sが話しかけてきた。

Yは居ないようだ。

 

二人で歩きながら話した。

S「面白かったで」

「え、何が?」

S「最大限。」

「あー頭パニクってたわ、Yは?」

 S「なんか用事あるから言うて先帰ったわ。あいつ如きに何の用事があんねんなあ」

「ほんで組んだん?」

 S「とりあえずな、あいつのネタあかんから俺が書く事にしてん」

 

もしかして…

 

 S「バファリンの半分は優しさとかもう擦り切れるくらい聞いた事あるから、こんなもんあかん言うて俺書くわってなって」

 

あいつあれめっちゃ気に入ってたんだな

 

 S「で、見たで"へこみパン"」

 

見せやがったな。あの紙燃やしとけばよかった。

あいつ殺したる!

 

 S「ようわからんかったけど変やな、とは思った。これ書いたのは変な奴やなって。いや褒めてるんちゃうで」

Sはそういうと笑った。

 

感想をもらえただけで嬉しかった。

 

まだやめないでおこうと思った。

 

 

続く