APEXというゲームには成績に応じてバッジ、称号のような物が貰える。
ハンマーバッジ
APEXで有名なのはこのバッジだろう
1試合で2000ダメージ以上出すと貰えるこのバッジ。
みんなが「ハンマー欲しい」「ハンマー良いよなあ」「ハンマー取りかけた!くそ!」とか"ハンマー"の話を聞く度に、俺は「ハンマーなんか要らない、楽しむ事が重要。」
と言い放ってた。で、実際にそう思っていた。
なぜなら自分に取って一番大事なのは"試合数"だ。
試合数はやり続ける限り増える。減る事が無いのだ。やればやる程増える数字、これこそが己の行動指針だと確信していた。
キルレや平均ダメは増えたり減ったりする。これは長くゲームを楽しむ上でメンタルを削られる要因になるのだ。
むしろハンマーという称号に対して嫌悪感すら抱いていた。
よし!ハンマー取ったら「ハンマーなんかしょうもないよ!」と意気軒昂に吠えてやる!
ハンマー取ってないのに言うと負け惜しみにしか聞こえないので、ひたすら試合数を重ねていった。
何回やっても取れない、早くハンマーが取りたい。早くハンマーを取ってハンマーしょうもないって言いたい。
月日が経ち10000試合目前という所でようやくハンマーを取った。
時はきた!
今こそ言ってやるぞ…
あれ?指が勝手に動いている。
自分のキャラクターにハンマーバッジを装着した。
え!?明らかにひけらかそうとしている!
ちょっと待てちょっと待て俺の指ちょっと待て、一旦トイレに行こう。
チラッと洗面所の鏡を見た。
そこには嬉しそうなおっさんが映っていた。誰やお前!
ついでに彼女に報告までする始末
トロフィーを長渕キックで倒してやると息巻いてた俺は消えていた。
一番ハンマーが欲しくてハンマーに囚われてたのは自分だったと気付いた。
よし、次は2500ハンマーしょうもないって言ってやろう。