トロフィーを飾る人になりたくなかった

APEXというゲームには成績に応じてバッジ、称号のような物が貰える。

 

ハンマーバッジ

 

APEXで有名なのはこのバッジだろう

1試合で2000ダメージ以上出すと貰えるこのバッジ。

みんなが「ハンマー欲しい」「ハンマー良いよなあ」「ハンマー取りかけた!くそ!」とか"ハンマー"の話を聞く度に、俺は「ハンマーなんか要らない、楽しむ事が重要。」

と言い放ってた。で、実際にそう思っていた。

なぜなら自分に取って一番大事なのは"試合数"だ。

試合数はやり続ける限り増える。減る事が無いのだ。やればやる程増える数字、これこそが己の行動指針だと確信していた。

キルレや平均ダメは増えたり減ったりする。これは長くゲームを楽しむ上でメンタルを削られる要因になるのだ。

 

むしろハンマーという称号に対して嫌悪感すら抱いていた。

よし!ハンマー取ったら「ハンマーなんかしょうもないよ!」と意気軒昂に吠えてやる!

ハンマー取ってないのに言うと負け惜しみにしか聞こえないので、ひたすら試合数を重ねていった。

 

何回やっても取れない、早くハンマーが取りたい。早くハンマーを取ってハンマーしょうもないって言いたい。

 

月日が経ち10000試合目前という所でようやくハンマーを取った。

 

時はきた!

 

今こそ言ってやるぞ…

 

あれ?指が勝手に動いている。

自分のキャラクターにハンマーバッジを装着した。

え!?明らかにひけらかそうとしている!

ちょっと待てちょっと待て俺の指ちょっと待て、一旦トイレに行こう。

チラッと洗面所の鏡を見た。

そこには嬉しそうなおっさんが映っていた。誰やお前!

ついでに彼女に報告までする始末

https://youtu.be/xYdpwvwKyas

 

トロフィーを長渕キックで倒してやると息巻いてた俺は消えていた。

一番ハンマーが欲しくてハンマーに囚われてたのは自分だったと気付いた。

 

よし、次は2500ハンマーしょうもないって言ってやろう。