話しは5年後に戻る。
彼女はお酒とカラオケが好きだった。
キョンキョンだ。
「好きな人にしか歌わない歌があるんだ」
ビールを飲みながら気持ち良く歌ってくれた。
俺の家から徒歩2分にある、ボーリングとビリヤードと卓球とカラオケが併設されてる店舗。
二人でそこには何十回と通った。
卓球とボウリングも何回かやって楽しい日々を過ごしていた。
部屋に戻ると彼女はたくさんの薬を広げ、
「何の薬?」
眠る前に東京であった事や元彼の話をたくさん話してくれた。
この辺りの事はここでも書いている。
http://hauto3.hatenablog.com/entry/2017/10/22/132452
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W「難しいすねえ」
ミニチョコパン4個入りみたいな菓子パンを鞄から出して頬張りながらWが学校帰りに話しかけてくる。
難しいというのは学校で出された卒業課題だ。
「食べます?」
いや、ええわ。
ていうかいつもどこで買ってんねん、その高カロリー高糖質の菓子パン。どうせ玉出だろ。
Wの卒業課題は"先生"に評価されていた。鏡を使った映像コントだ。
鏡事故というタイトルだった。
交差点にある"カーブミラー"車で見ると自分達を守ってくれる存在が、自転車で見ると鏡との距離が近すぎて鏡には自分の自転車が他人の自転車とぶつかってくるという角度みたいに見えてしまい事故が起こるという、本末転倒を笑う映像作品だった。
自分は何をしよう。
とりあえず漫才のネタを書いてみて、先生にパソコンメールで台本を送った。
「やりたい事がわからん」
と言われ、また違うのを書いた。
「お前のやりたい事はなんなんや」
怒られた。
また違うの書くと、無言で首を振られた。
なんか滅茶苦茶腹立ってきて、15分で台本作ってメールしてやった。
「面白い」
と、だけ返事が返ってきた。
その台本は
漫才で
〇「はい、どうも〜〇〇ですー二人でやらしてもろてますけど」
✖️「あー挨拶ですね」
〇「最近どうですかー調子は?」
✖️「話しの取っ掛かりを作るための話を振ってきましたね」
〇「なんやねん」
✖️「ツッコミですね」
みたいな感じで、"相手の状態をいちいち指摘する奴"と話す漫才だった。
何が先生が良かったのかわからないが"やりたい事"は多分これやっていう確信はあった。
あと、自分で自信を持てた瞬間だった。
追い込まれていざとなれば15分でネタ作れるんやと。
というその自信を持たす為のライオンだったのか?
続く